雪の日


それは寒い 寒い日だった
雪が降ってはまた消えて
凍りそうなほど冷えた指先を
一人で握り締めた

冬の風が窓をたたく音
冷えた空気に吐息も白く
「さようなら」と動いた唇に
気付かないふりをしてた

待っても待っても来ない人を
どうしても信じたくて
一時間 二時間
時計が回っても待ち続けた

少しずつ色褪せる景色を
横目で通り過ぎて
歩き出さなきゃ
自分に何度も言い聞かせたのに


待っても待っても来ないことを
最初から知っていた
それでも どうしても
待っていたいんだと時計をしまう

もう二人で過ごす冬は来ないことも
もう二人で見る雪は降らないことも
知っていた分かっていた
手放したくないあの日のような幸せは
来ないのだと

少しずつ色褪せる景色に
手を振り歩き出す
強くならなきゃ
今度の春には笑えるように
今日くらい泣いていいよね






制作 2012/01/??
収録 2013/05/27