朔月



死んでしまうほどの 覚悟もない癖に
生き続けるだけの 理由を見つけられずいる

しがみついた糸は いつしか首を絞めていた
手を差し延べたつもりで 牙を突き立てていた

街灯が照らした未来は 群がる虫に喰われた
引っ掻いたこの両腕を 抱き締めてくれる誰かを待ってる

あの星が流れて消えるように
私の体も消えて行くから
あの花が枯れて土へと還るように
息を吹き返したくない


夜の音に溶ける この心臓でさえも
自ら断ち切ることは 許してはくれないね


あの星が流れて消えるように
私の体も消えて行くなら
土に還り春を待つ未練がましい種になる前に

あの月が欠けて消え行くように
私の両手も透けて行くけど
この声が枯れて届かなくなる前に
せめて目を凝らし探す
欠け始めた月を


制作 2016/08/18