アネモネ



雨の中走って飛び出した屋根のない屋上
目の前を遮る雨雲はくすんだ灰色

あの日の花束は夢のように枯れ果ててゆくのに
消えない思い出が突き刺さる濁った色して

私の二本の指であなたの呼吸さえ止められる
あなたのついた嘘の味はもう酷く苦いから

憎らしいその輪郭を彩る赤の色を塗り潰して
染めてあげるわその背景ごと私の愛した花の色で


私の一つの罪があなたの恋路を狂わせるなら
あなたの嘘が歪ませたこの人生くらい捨てても構わない

愛おしいその輪郭を彩る肌の色を塗り潰して
染めてあげるわその身体ごと私の愛した花の色で

赤の色を塗り潰して
染めて欲しいのこの身体ごとあなたの愛した花の色で






制作:2018/05/01