溶けなかった砂糖が四角いまま泳いでる
二人の蟠りほど苦いものじゃあないのに

一緒に暮らそうと言えたなら良かったのに
どうせ終わるなら苦しいのは同じでしょう?

キッチンに残った二人のコップを粉々にすれば
後腐れもなく忘れられると信じていた

抜けないまま育って行く
この身を隠す棘の痛みをその身に植えつけた
離れられないように
若い青が染めた景色が私を覆い隠していく
この世のどこにも私なんてまるでいなかったかのように


私があなたを思ったようにあの人を思えば
この手に残ったナイフが鋭く光る

抜けないまま蝕んで行く身体に回る毒が
あなたをこの手で殺める前にこの身を消し去ってくれれば良い
若い棘が空を目指す 私を遠く置き去りで
この世のどこにも私なんてまるでいなかったかのように









制作:2018/09/03
初出:2018/10/07
音源:2019/02/22