棘 溶けなかった砂糖が四角いまま泳いでる 二人の蟠りほど苦いものじゃあないのに 一緒に暮らそうと言えたなら良かったのに どうせ終わるなら苦しいのは同じでしょう? キッチンに残った二人のコップを粉々にすれば 後腐れもなく忘れられると信じていた 抜けないまま育って行く この身を隠す棘の痛みをその身に植えつけた 離れられないように 若い青が染めた景色が私を覆い隠していく この世のどこにも私なんてまるでいなかったかのように 私があなたを思ったようにあの人を思えば この手に残ったナイフが鋭く光る 抜けないまま蝕んで行く身体に回る毒が あなたをこの手で殺める前にこの身を消し去ってくれれば良い 若い棘が空を目指す 私を遠く置き去りで この世のどこにも私なんてまるでいなかったかのように |